オージーミュージックの現状 1 〔About Australian Music)
オーストラリアからは、時代毎にワールドフェイマスなアーティストが輩出されます。
古くはカイリーミノーグやオリビアニュートンジョンなどの歌姫や、AC/DCやINXS、クラウデッドハウス、リックスプリングフィールドなどのロックレジェンドが代表的ですよね。
現在のワールドフェイマスなアーティストとしては、イギーアゼリアや5SOS、トロイシヴァンなどのポップスターが全米チャート等を賑わせています。
オーストラリアのポップミュージシャンには音楽的にも面白いアーティストもいます。Sia、Gotye、Flumeなんかはかなり面白いですよね。
で、ポップシーンの話は置いておいて、そんなことよりも、オーストラリア国内の音楽シーンは三国志ばりの混沌とした様相を呈しています。
まず豆知識ですが、オーストラリアの首都はキャンベラですが、シドニーやメルボルンの印象が強いですよね?キャンベラはその2大都市の中間にあるので、間をとって首都になったそう。(ほとんど関係ないです)
そんなオーストラリアの東側に偏った2大都市、シドニーとメルボルンにも負けずとも劣らぬ、というか個人的には勝っていると思うのが西の都市、パースです。その3都市の特色なども交え、紹介して行きたいと思います。
まずはそのパースから。なぜなら、パースからムーブメントが起こったような気もするし、熱量が多いので先に済ませたいと思います。笑
パースの音楽シーンの特徴として、横の繋がりが強い点で、コミュニティが出来上がっている印象です。また、パース自体陽気な人が多いらしく、クレイジーでヒッピー感があります。
オーストラリアでは現在サイケブームで、かなり多くのサイケバンドが存在しており、私はそんなオージーサイケが大好きなのですが、そのブームの火付け役となり、オージーミュージックに注目を向けさせたのは、確実に、天才Kevin Parker(ケヴィンパーカー)率いるTame Impalaです。言い切ります。大ファンです。オージーミュージックをピックアップしようと思った時に、このバンドだけで終われるぐらい魅力的です。笑
ビートルズからのサイケ要素は踏襲しつつ、ヒップホップなビートもあり、シンセを多用したドリーミーで自由奔放なサウンドで、MGMTとともに新時代サイケの礎を築いたと思います。
作詞作曲演奏プロデュースまで、ほぼ全てケヴィンが自宅スタジオで行なっているので、ほぼソロプロジェクトです。最初の2枚はそのDIYさが出まくっていて、チープさがあり、そのチープさが余計にサイケな雰囲気を醸し出しています。さらに普通のエンジニアならしないような音作り(信じられないくらいコンプをかけたり)をしているので、サウンドがとても新鮮で面白いです。
そんなケヴィンなんですが、現在コラボレーターやプロデューサー業が忙しいらしく、マークロンソンとのコラボに始まり、レディガガとのコラボ、トラヴィススコットとのコラボなど、少し寂しいきもちもあります。
では、Tame Impalaのオススメ曲を各アルバム一曲づつ紹介したいと思います。
1stより「Solitude to Bliss」
この曲でテームインパラがどんなサウンドかわかるかと思います。12インチシングルを所有しておりますが、音圧が半端なく、ぶっ飛びます。出会うことができた場合は是非ゲットしてください。
2ndより「Mind Mischief」
このアルバムが世界中で絶賛の嵐を呼び、オージーミュージックに注目が集まった印象があります。
他に有名な曲も収録されていますが、ここは好みでこの曲を選びます。
最後に3rdより「The Moment」
若干80sポップっぽいサウンド(ティアーズフォーフィアーズ的な)で、なぜか少しセンチメンタルな気分になりますが、好きな曲です。映像を見てもらうと分かりますが、楽器を改造してたりペインティングしてたり、彼らの機材はかなり面白いので、そのあたりもピックアップしたいです。
彼らは去年サマソニで来日したのですが、ノエル、NIN、インパラ、フライングロータスをドン被りさせ、他の時間は大したものが無いという暴挙に出たので、大金を払う必要がないし、後であっちに行けばよかったと後悔することが目に見えているので、見送った訳なのですが。。。見ておけばよかった。。。
次に紹介するのが、Tame Impalaとは兄弟的なサイケバンド、Pond(ポンド)です。なぜ兄弟的かというと、メンバーをバンド間でトレードするほど、深い関係だからです。
こちらはFlaming Lips直系なクレイジーなサイケバンドで、フレーミングのような感じでコンスタントに楽曲を発表していて、アルバムは2008年の結成からすでに7枚のレコードをリリースし、今年も新作をリリース予定とのこと。
ですが、Tame Impalaは陽で、Pondは陰といった感じで、カルトヒーロー的立ち位置なので、好き嫌いは分かれるバンドだと思います。
そんな彼らのお気に入りの曲は数年前のアルバムより「Xanman」です。クレイジーに鳴り続けるドラムに、歪んだボーカルとギターのカオスはまさに激情派サイケの系譜を受け継ぐ者と言えるでしょう。
続いては、サイケで耳もたれしたと思うので、お耳直し。
パース出身の女性SSW、Stella Donnelly(ステラドネリー)。
ベービーフェイスな笑顔が素敵な彼女ですが、歌声も子供のようなパワフルさと、どこか童心を持った、しかしセンスの溢れるメロディセンスで、先日紹介したWhitneyの所属するレーベルSecretly Canadianとサイン。このレーベルは近年良作をリリースし続け、しかも、ヴァイナルの価格が超良心的価格。大好きなレーベルです。
3月に待望の1stフルアルバが発表予定なのですが、去年リリースされたEPがかなりお気に入りで、その中から「Mean to Me」という曲をオススメします。
最後に、近年1番衝撃的なサウンドだったバンドを紹介します。ジャズラップバンド、Koi Child(コイチャイルド)です。再度耳もたれしてもらいます。
元々、Kashikoi(賢い)とChild’s Playというバンドで活動していたのが、合体してこのバンドになったのですが、黒人ラッパーのシャノンがヴォーカルを務め、ベースとキーボードとドラムに3人のホーン隊という構成です。
このバンドを聴いてギターロックの終焉を感じたというか、バンドサウンドに必ずしもギターは必要なのかという考えになりました。
今のところ、音源は2016年に発表されたセルフタイトルドアルバムなのですが、そのアルバムのプロデューサーこそ、パースが誇る天才、Kevin Parkerです。ちなみにホーン隊は、先に紹介したPondの最新作にも参加しており、パースの横の繋がりを感じさせられます。
肝心のサウンドですが、ケヴィンらしいグルーヴのある爆列ドラムサウンドに、ベースとホーン隊の超ヘヴィな低音の応酬で、一瞬で持っていかれて、残る言葉は「カッケー」の他ありません。とにかく聴いていただきたいです。
まだまだ、パースにはカッコいいアーティストがいるので、是非掘ってみてください。